(2017年4月記)
守谷市内に日曜も 小児を診てもらえる医療機関が2軒できたことは誠にうれしい限りです。ただ、個人的には、高額な加算がかかる休日に わざわざ受診する必要が本当にあるのかどうか? 少し疑問に思うところもあります。
「仕事の都合で平日に受診させられない」とよく言われる方がおります。軽微な鼻風邪、湿疹・皮膚炎、慢性的なアレルギー疾患等の管理なら「仕事の都合」で日曜受診でも構わないでしょう。
最近、月1で土曜夜に「JAとりで総合医療センター」をお手伝いしています。子どもが4〜5日前から発熱しているのにそのまま、そして熱が下がらずどうしようもなくなって救急外来を連れて来られる方々がおります。これは小児虐待の一種
ネグレクトに該当します。
(これと似たものでは4〜5日前から発熱しクリニックにかかって薬を飲んでる。金曜も土曜午前も再診したけどなんの検査もなく、病院小児科に紹介されることもなく、ただ抗生剤が変更になっただけ。これはさすがにまずいと思って救急外来に連れて来る親達も。これは普段かかっている医療機関が選定ミスだったと早く気が付かないと・・・。)
また、これとは反対に発熱したらすぐインフルエンザや溶連菌、アデノウイルス等の検査が必要と思い込んだ親御さん達に多数遭遇致します。親の愛情がとても溢れてはいるのですが、インフルエンザ流行期なんかはわざわざインフルエンザウイルスをもらいに行っているようなものでしょう。
(救急外来でウイルスをもらって、そして保育園・幼稚園・学校で伝播していただければ医療機関も調剤薬局も製薬・検査メーカーもテナント管理会社も開業コンサルタントも収益が上がってみんな御の字(^^;)。でも、この収益分は誰がいつどうやって払うのか? とても心配になってしまいます。)
と前置きがとても長かったのですが、下記のような感じだったらすぐに医療機関を受診する必要はないでしょう。
・生後3か月を過ぎていて、機嫌がよければ熱がでても急ぐ必要はありません。
(熱がでてすぐに病院を受診しても診断がつかないことがほとんどです)
・咳がでていても顔色もよく、ゼーゼー苦しがっていなく機嫌もよければ大丈夫でしょう。
・吐き始めてもかなりお腹を痛がっていない場合は数時間ほど飲み食いは止めてから経口補水液を与えて様子をみましょう。
・下痢も頻回でも少量ずつで機嫌もよければ翌日まで様子をみましょう。
「機嫌がよければ」とは「飲む,寝る,遊ぶ」がそこそこできていること。ただ「ふだんと様子が違う」という母親の直感も侮れません。迷ったときは「信頼できる小児科」を受診しましょう!
反対に下記の場合はすぐ病院にかかりましょう。
・生後3ヶ月以内で39度以上に発熱し2~3時間後の再測定でも下がらない。
・トマトケチャップと便をかき混ぜたような血便がでている。
・ロタワクチンを接種後に機嫌が悪く何回も吐き続ける。あるいは血便がでる場合。
・お腹が蛙のようにパンパンに膨らみ、吐き続けている。
・痙攣が止まらない。痙攣がおさまっても呼び掛けに反応しない。腕や足の片側が麻痺している。
・顔色が悪くゼーゼーし、横になると苦しくなって起き上がってしまう(起座呼吸)。
日曜に午前・午後併せて150人位患者さんが来院される小児科クリニックが市外にあるそうです。通常とは異なり休日加算が加わるのでクリニックには100万くらい、隣接している調剤薬局にも40〜50万の売り上げがありそうでとても羨ましいような・・・(でも、「そんなに診たくない、絶対に診れない」のが私の本音です(^^;))。
ただ、本当に急患や親の仕事の都合で日曜日に受診しなくてならない子ども達がそんなにいるのでしょうか???
当院でも2009年から冬季の祝日に急患を対象に休日診療しておりますがほとんどが20名割れ、2015年2月11日なんかはわずか6名の受診でした(^^;)。
守谷市内のように子どもの人数に比べて小児をみる医療機関が多い地区では「発熱したらすぐ受診しましょう」「特効薬がないウイルス感染症でも周囲に感染させないように迅速検査はとても大事です」「風邪をこじらせないようにいろいろな細菌に効く最新で強い抗菌薬(セフジトレンピボキシル、トスフロキサシントシル酸塩
等)を早く飲ませましょう」「一回ゼーゼーしたので喘息にならないように小学校に入る前まで予防薬を飲み続けましょう」と普段から親御さんを不安に陥れ、煽っておかないと150人は夢の夢ですね。
P.S.今年の5月ゴールデン・ウィークですが4月29日に1名、5月5日に1名診療致しました。5月3日は携帯電話が鳴って取ったのですが切れてしまいましたm(_
_)m。学会や勉強会参加中を除けば時間(数分〜数十分単位)をあけて幾度か掛け直してもらえると繋がるはずです。診察できるかどうかは別ですが・・・。
(詐欺などの犯罪に巻き込まれないよう着信記録からは一切かけ直しません。ご了承ください。)
2017年5月5日(こどもの日)追記
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