もりや小児科医院Moriya Pediatric Clinic

そこそこ風邪って罹るもの?!


4月に入って保育園の洗礼を受ける方が多くなりました。保育園・幼稚園は感染症の宝庫です。

2001年に地区医師会からの依頼で市広報に書いた文書です。

「百戦錬磨とお互い様:
この年になるといろいろな病気に罹り過ぎて風邪ひとつひかん!」と百歳を越えたおじいさんのインタビュー記事を新聞で読んだことがあります。この言葉には深い意味がありますので説明しましょう。生まれたばかりの赤ちゃんにはお母さんからもらった抵抗力(移行抗体)があります。このおかげで赤ちゃんはお母さんが過去に罹ったことのあるウィルス感染症には罹りにくいのです。しかしこの移行抗体は徐々に減少し、生後6ヶ月を過ぎた頃に初めて熱を出します。その多くは突発性発疹という病気です。この時にはお母さんからもらった移行抗体は空(から)になったと考えましょう。そしてその後はいろいろなウィルスに感染して熱を出します。そして自ら抵抗力(抗体)を産生しウィルスに打ち勝っていきます。さらにこの時、ウィルスに対する抗体の作り方を体の中に記録します。大人になって同じあるいは類似のウィルスに感染しても、記録された製法からすぐに抗体が産生されるため治りやすいのです。子供の頃は熱をあまりださないで健康体だったと思っていても、前記のメカニズムが十分に確立されておらず大人になっていろいろな風邪に罹り易い事もあります。さらに麻疹、水ぼうそう等は大人になって罹る方が重症化しやすいようです。このような感染免疫の仕組みを(十分に)理解して、集団生活に入った時には「○×さんにうつされた!」と文句を言わずにある程度は「お互い様」だと考えてください。でも、予防接種で防げる麻疹、風疹などは罹り損だし、不治のウィルス感染もありますのでお間違いなく。」

インフルエンザに罹った時のなかなか行けない登園・登校基準とか、園や学校から検査依頼(命令?)は私も含めた多くの小児科医がやり過ぎと感じております。

子どもの時に罹らないようにいくら頑張っても大人になってから罹ります。

子どもの頃に罹って抵抗力(免疫)を作っておくべきか? 社会に出た時に風邪で休みがちのサラリーマンになるか?

どちらを選択しますか?

まだまだ書き直します。