(2016年4月HPリニューアル時に記載)
現在、ロタウイルスに対するワクチンはロタリックス(RV1:2回接種)とロタテック(RV5:3回接種)が発売されております。
どちらが優れているか直接比べたデータはありません。2回接種のロタリックス(RV1)は3回接種のロタテック(RV5)に比べて接種(服用)回数も少なく、1回の薬液量も少ないので医療機関にとっては簡単で使い易いようです。
しかしながら当院では少し面倒なロタテック(RV5)を採用しております。
その理由は
1,ロタテック(RV5)の方が世界的に見て7:3程度の割合で販売量が多い。
(シェアが高いから良いという訳ではありませんが実績は評価されるべきかも)
2,ロタテック(RV5)は5種類のロタウイルスに対応している。
(ロタリックスは主要な1つの型のみ、後からの調査で他のものにも効果あると報告されているが、最初からデザインされたものに比べて効果が弱そうに思える。ロタリックスを集団接種しているオーストラリアの某州では型の一つであるG2P[4]型の発生を抑え切れずにロタテックに変更している事例もある)
3,ロタテック(RV5)は牛型ウイルスを使っているので消化管内での増殖が強くなく、2次感染(周囲にうつす)の可能性が低い。
(その代わりにロタリックス(RV1)に比べて効果がやや弱い可能性が指摘されている)
4,ロタテック(RV5)は 1回だけの接種で70%、2回接種で78%、3回目で84%の効果があると報告されている。
(ロタリックスには公表されたデータ はない)
反対に
・腸重積の発症率がロタテック(RV5)はほんのわずか高いかもしれない。
接種時期も3回目接種はやや遅めの時期なので腸重積の好発年齢に近づいてしまうことを考慮すれば差はあまりないものと思われます。心配なら2回接種に留めておいてもよいでしょう。
最近、知り得た2013年に公表されたデータでは
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23014356 へのリンク
ロタテックは3回接種だが1回だけでも88%、2回でも94%でもロタウイルス感染による入院や救急外来受診を抑制する。
当院では以前よりロタテック(RV5)を勧めております。多くの赤ちゃんにせめて1回だけでもロタウイルス・ワクチンを接種して欲しいと願って1回目は原価割れ価格で提供しております。
2016年はロタウイルス感染者が増加していたようです。その理由は遺伝子型G2P[4]型が流行したためらしい。どちらのワクチンがより効果がありそうか? なんとなく見えてきましたね。
(2017年4月28日追記)
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