食物アレルギーが増えた理由のひとつは赤ちゃんの時に無闇にアレルギー検査をしたからです。
昔はほとんどの医師はアレルギー検査で引っかかった食材を与えないように指導しました。また、お母さん方も心配で与えなくなります。食べさせないと体がどんどんその食材を受入られなくなり、食物によるアレルギーがひどくなります。
最近、アレルギーが起きる原因に経皮感作が指摘されております。湿疹等の荒れた皮膚から体に染み込むアレルギー抗原によってアレルギー反応が構築する前に口から経口摂取させることでアレルギーを抑制することが証明されております。
すなわち、皮膚からアレルギー誘引物質が染み込まないように皮膚を適切な状態に維持し、適切な月齢・年齢にいろいろな食材を適量にまんべんなく与えることで食物アレルギーが起きにくい体になるようです。
以前は離乳食を与える前にアレルギー検査を希望されたり、保育園に入所する際に園側からアレルギー検査を要求されることが多々ありました(今も?)。
当院ではこの不当で無知な要求※に対して「検査をしたら身動きがとれなくなりますよ(食べさせるものが無くなるよ)。この検査は競馬新聞の予想程度のものなので陽性でもまったくアレルギー症状を起こさないこともあるし、反対に陰性でも食べると死にかけることがあります。少しずつ与えてみるしかありません。お母さん自身は離乳食を開始する前にこの検査をしましたか?」と説明し、ほとんど断っていたので保育園側からものすごく顰蹙を買っておりました(^^;)。
血液検査のみで「食物アレルギー」と思って除去しているあなたへ
http://allelab.jp/know/latest/3765 へのリンク
※この頃に保育園関係の集会で検査会社がスポンサーの講演があり、その演者の有名医師が検査は有用だとお話していたからでしょう。だから園側も被害者だった(過去形)と思います。
もちろん、推定される食物を除去(一時的に)してもアレルギー症状がおさまらない乳幼児には当院でも検査を行っております。
P.S.個人的には「食物アレルギー」と言う名称に疑問を感じております。問題になっているのは生命に影響するアナフィラキシー(ショック)症状です。「食物アナフィラキシー」と名称を変更するべきでしょう。
まだまだ続く
(2016年4月記)
5月25日夜に食物アレルギーの講演を拝聴して来ました。特に目新しい進歩はなさそうです。
・乳児期のアトピー性皮膚炎を治せば食物アレルギーや気管支喘息等のアレルギー疾患を予防できる可能性がある。これが現在のコンセンサス。<ー私も大賛成!!!
・食物アレルギーを診断されている方の半分は一回の食物負荷試験で解除できる。<-すなわち誤診あるいは過剰診断だった?!!
・外国では、小麦アレルギーだったが問題なく食べていた。セリアック病と診断され小麦摂取を禁止された。数年後に小麦を誤摂取した際にアナフィラキシーショックを起こし亡くなったケースがある。
等々
今回の講演の協賛スポンサーはアレルギー検査試薬メーカーです。でも、参加費¥1,000ほど徴収された(^^;)。
この関連の講演会を今14歳になる我が娘がアトピー性皮膚炎+食物アレルギー(アナフィラキシーではありません)だったので継続して参加しております。
長女が 2〜3歳頃(即ち10年以上前)に、つくば市内で食物アレルギーで高名な先生(今も第一人者)の講演がありました。「娘になんとかこれらの食材をなんとか食べさせたい。どうしたらよいのか?」との私の質問に対して「とにかく食べさせないことです。」の一点張りでした。
親(私)は藁にもすがる思いで「原因食物を摂取の際に、事前にアレルギーを抑える薬(インタール内服薬:頓用)を服用」を繰り返し、現在では薬剤なしに今は問題なく食べております。<ー インタールは気休めだったと思います?!!。
「食べて治す」という経口減感作療法が世に広く浸透したのは今から7年前の平成22年12月の第47回小児アレルギー学会からです。
結局、私のいい加減な性格のお陰で娘は重症の食物アナフィラキシーにならずに済んだようです(^o^)v。もちろん、当院を受診されている患者さん達もです(ドクターショッピングをしている方を除いて)。
2017年5月28日追記